さてさて。
まだ具体的な生地の話にはいきませんよ。
大事な前提の話がたくさんあるからね。
少々地味な話が続きますが、お付き合いください。
天然繊維と化学繊維
今回のテーマは、服地に使われる「繊維」のお話。
繊維には、大きく分けて天然繊維と呼ばれるものと、化学繊維と呼ばれるものがあります。
天然繊維は、名前からもお分かりになるかと思いますが、自然界にすでに繊維として存在しているもの。
植物や動物から繊維を取り出し、必要な加工を行って糸などに利用するものですね。
一方の化学繊維は、天然由来の原料を化学的に処理して繊維の形にしたものや、人工的に合成した物質から作られる繊維のことです。
こう書くと、少々ややこしいですね(笑)。
では、それぞれの種類を見ていきましょう。
天然繊維
化学繊維
※代表的な繊維を抜粋した入門用の分類です。鉱物繊維の石綿については歴史的な分類として本文で紹介します。
天然繊維の種類
天然繊維には、大きく分けて植物繊維と動物繊維があります。
植物繊維の代表格は、皆さんよくご存じの綿(コットン)ですね。
ほかにも、リネン(亜麻)やラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)などがあります。
動物繊維では、羊毛(ウール)や絹(シルク)が有名ですね。
ほかにもカシミヤ、モヘヤ、アルパカなど、いろいろな種類があります。
昔の分類に登場する鉱物繊維
ちなみに、昔の繊維の分類には「鉱物繊維」というものも登場します。
その代表が石綿。
石綿ってご存じですか?
かの有名なアスベスト御大でございます。
もっとも、アスベストは深刻な健康被害を引き起こすことが明らかになっており、現在の日本では製造や使用などが原則禁止されています。
今の服地選びで扱う素材ではありませんが、繊維の歴史を振り返ると登場するものなんですね。
化学繊維の種類
さて、ここからが少々ややこしい。
化学繊維には、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維といった種類があります。
名前は似ていますが、原料や作り方に違いがあるんです。
再生繊維
再生繊維の代表格はレーヨン。
木材パルプなどに含まれるセルロースをいったん溶かして、再び繊維の形にしたものです。
レーヨンの歴史は古く、1884年にはフランスで初期の製造技術が生まれています。
もう140年以上も前のお話なんですね。
かつては「人造絹糸」、略して「人絹」なんて言葉も使われていました。
今ではあまり耳にしない言葉でしょうか。
ちなみに皆さんご存じの帝人さん。
実は「帝国人造絹絲」という社名から始まった会社なんです。
日本の化学繊維の歴史を語るうえでは、なかなか興味深い話ですね。
現在の再生繊維には、レーヨンのほかにもキュプラやリヨセル、モダールなどがあります。
旭化成さんの「ベンベルグ」も有名ですが、こちらはキュプラのブランド名ですね。
半合成繊維
半合成繊維の代表格はアセテート。
セルロースなどの天然由来の高分子を化学反応によって変化させ、繊維にしたものです。
アセテートやトリアセテートなどがこの仲間になります。
再生繊維と何が違うの? と思われるかもしれません。
このあたりは製法のお話になるので、また別の機会に詳しく取り上げたいと思います。
合成繊維
こちらは皆さんもよくご存じでしょう。
ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタンなど。
石油などを原料として合成した高分子から作られる繊維です。
いわゆる「合繊」ですね。
実はポリエステルひとつを取っても、一般的なPETのほか、PTTやPBTなど、性質の異なる種類があります。
最近ではリサイクルポリエステルや、植物由来の原料を一部利用した合成繊維なども登場しています。
もっとも、リサイクルポリエステルは新しい種類の繊維というわけではありません。
原料の調達方法や製造方法に関する違いなんですね。
このあたりも掘り下げると、なかなか面白そうです。
無機繊維
最後は無機繊維。
代表的なものにガラス繊維(グラスファイバー)や炭素繊維(カーボンファイバー)などがあります。
一般的な服地ではあまりお目にかかりませんが、産業用の素材として幅広く使われています。
化学繊維の歴史を少しだけ
こうして見てみると、化学繊維の発展は面白いものがあります。
19世紀末にレーヨンの製造技術が生まれ、20世紀に入るとナイロンが登場。
その後、ポリエステルやアクリルなどの合成繊維が広まっていきました。
天然の原料を利用する技術から、人工的に高分子を合成して繊維を作る技術へ。
さらに現在では、リサイクルや原料の由来、環境への配慮といった方向にも技術開発が進んでいます。
繊維の世界も、ずいぶん変わってきたんですね。
今回はここまで
さて、天然繊維よりも化学繊維の方が、ずいぶん話が長くなってしまいましたね(笑)。
今回はまず、繊維にもいろいろな種類があるということを知っていただければ十分です。
それぞれの詳しい特徴や製法については、また少しずつお話ししていきましょう。
今回はこんなところでおしまいです。
今後、繊維素材の詳しい解説や、関連する生地カテゴリーへのリンクを追加していきます。










