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2026年 布一筋で112年になりました!
江戸ッ子は「手」の文化を大切にしたいと、布地にこだわりました。
 手でつくったものにふれると、心が温かくなるのはなぜでしょう。それはつくった人の心が「手」というアンテナを通して伝わってくるからではないでしょうか。ちょっと便利になりすぎた世の中ですが、お母さんのお針仕事や手づくりのモノに心の安らぎを感じませんか?お母さんの古びたお裁縫箱を見るたびに、お母さんの愛情や苦労が感じられるように・・昔の日本は「着る、食べる、住まう、遊ぶ」などあらゆる生活場面で「手」の想像力を発揮していました。遠い祖先から受け継いだ「手」の文化を次の世代に伝えたい。それが私たちの願いです・・・

生地の名前はどう決まる? 繊維の種類と昔ながらの呼び方|生地の知識 第3回

皆さんはあまり使わない言葉かもしれませんが、今回は生地業界での呼び方のお話。

まぁ、それほどマニアックな話ではなくてね。

使われている繊維の種類によって、生地の呼び名がどう変わるのか。そんなところから始めましょう。

生地の名前は、繊維の種類でも変わります

例えば綿を使った織物なら「綿織物」、麻を使った織物なら「麻織物」。

ここまでは、そんなに難しい話ではありませんよね。

ただし、生地の名前は繊維だけで決まるわけではありません。織り方や編み方、加工方法、産地などから付けられる名前もあります。

今回はその中でも、繊維の種類に注目してみたいと思います。

レーヨン織物とスフ織物

さて、ここからが少しマニアックなお話。

昔はレーヨンを使った織物でも、長い繊維を連続させたフィラメント糸を使うものを「人絹織物」「レーヨン織物」、短い繊維を紡いだ糸を使うものを「スフ織物」などと呼んでいました。

はい。フィラメント?? スパン?? いきなり聞き慣れない言葉が出てきましたね。

スフなんて、もっと知らない方が多いかもしれません。

ちょっと補足

フィラメントは連続した長繊維、ステープルは短繊維のこと。スパン糸は短い繊維を紡いで作った糸です。「スフ」はもともとステープル・ファイバーから来た、昔ながらの呼び名なんですね。

なお、現在の製品表示で使う繊維名と、昔の業界での生地の呼び名は必ずしも同じではありません。

フィラメントやスパンのお話は、いずれ糸の種類をご紹介するときに詳しく取り上げたいと思っています。

今は「同じレーヨンでも、糸の形によって違う呼び名が使われていたんだ」くらいで覚えておいてください。

ウールと獣毛の話

はい、話は戻ります。

ここからは動物由来の繊維。超メジャーどころといえば、やっぱりウール(羊毛)ですね。

秋冬の暖かい生地として、今でもおなじみの素材です。

ただ、私共のようにアパレルの素材を扱っていると、以前に比べてウールの服地を見かける機会が少なくなったように感じます。

ちょっと横道に逸れますが、ウールは保温性や風合いが魅力な一方で、お洗濯に気を使うものもありますし、虫食いへの注意が必要なものもあります。

重さが気になる生地もありますね。もちろん、軽いウールや洗いやすい加工を施した製品もあるので、一概には言えませんが。

最近は軽くて暖かい合成繊維の製品も増えていますし、原料費や加工費などの変化もあります。

だからといって「世界中のウールの生産量が一律に減っている」とは言い切れません。

それでも、少なくとも私共が仕入れる服地の世界では、良いウールが出てくると以前より貴重に感じることが増えました。

カシミヤ、パシュミナ、そして獣毛

ウール以外ではカシミヤも有名ですね。

羊毛よりも希少で高価な素材として知られています。

そして、パシュミナという言葉を聞いたことはありますか?

かつて高級ショールの名前としてよく耳にしたものですが、実はカシミヤとまったく別の種類の繊維というわけではありません。細いカシミヤや、それを用いた織物・ショールなどに関係する呼び名なんです。

さらにモヘヤ、アンゴラ、アルパカ、キャメルなどもあります。

羊毛以外の動物の毛をまとめて「獣毛」と呼ぶことがありますが、種類によって風合いも性質も違います。

珍しい獣毛のお話

ちなみに、シャトゥーシュという非常に細い毛を使った高級ショールも知られています。

ただし、原料となるチベットカモシカは国際的に保護されており、ワシントン条約によって国際的な商業取引は原則禁止されています。

こちらは珍しい素材の歴史として知っていただくもので、現在の服地としておすすめするものではありません。

余談が多いですね(笑)。

異なる繊維を組み合わせることもあります

余談ついでに、もう少しだけ。

カシミヤやアルパカなどの獣毛は、単独で使われることもありますが、ウールやアクリルなど、ほかの繊維と組み合わせた生地もあります。

こうした場合に出てくるのが「混紡」「交織」「交編」「混用」といった言葉です。

似ているようで違う、繊維の組み合わせ
呼び名 おおまかな意味
混紡 種類の異なる短繊維を混ぜて、一本の糸に紡ぐこと
交織 種類の異なる糸を組み合わせて織ること
交編 種類の異なる糸を組み合わせて編むこと
混用 複数の種類の繊維を使うことを広く表す言葉

ちなみに「複合繊維」という言葉もありますが、こちらは単に異なる繊維を混ぜた生地のことではありません。

たとえば、異なる性質のポリマーを一つの繊維に組み合わせて作るものなどを指す、別の技術用語です。

ここも掘り下げると長くなりますので、糸のお話をするときに改めてご紹介したいですね。

今回はここまで

生地の名前ひとつにも、繊維の種類や糸の作り方、昔からの業界の呼び方が関わっているんですね。

またまた余談が多くなってしまいましたが、今回はこんなところでおしまいです。

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