繊維の組成とは?混紡・混用率・素材の違い|生地の知識 第5回
繊維の組成とは?混紡・混用率・素材の違い|生地の知識 第5回
さてさて。
生地というものについて、まだまだ前段階のお話が続いています。
今回は「繊維の組成」のお話。
組成。化学などではよく使われる言葉ですが、簡単に言ってしまえば「何からできているのか」ということですね。
生地の世界では、1種類の繊維だけを使って作られている糸もあれば、複数の種類の繊維を組み合わせて作られている糸もあります。
今回は、そのあたりを少し整理してみましょう。
繊維の組成って何でしょう?
例えば、綿だけでできた糸もあれば、ポリエステルと綿、ウールとレーヨンとアクリル、といった具合に異なる繊維を組み合わせて作られるものもあります。
2者混とか3者混なんて言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
ちなみに、複数の繊維を使っている場合でも、糸の段階で混ぜているものもあれば、違う糸を組み合わせて生地にしているものもあります。
このあたりも、なかなか奥が深いところです。
例:綿100%、ウール100%、ポリエステル100%
1つの素材だけで作られた糸や生地です。
例:ポリエステル+綿、ウール+ナイロン
2種類の繊維を組み合わせて作られたものです。
例:ウール+レーヨン+アクリル
3種類の繊維を組み合わせて、風合いや機能を調整します。
なぜ異なる繊維を組み合わせるのでしょう?
では、どうしてわざわざ異なる種類の繊維を組み合わせるのでしょうか。
理由はいろいろあります。
- 組み合わせることで生産原価を下げる
- 丈夫さや耐久性を高める
- 扱いやすさや機能性を持たせる
- 風合いや質感を変える
- 新しい機能や特徴を持たせる
- 商品としての目新しさを出す
- 逆に高級感や付加価値を高める
もちろん、組み合わせれば必ず狙い通りの効果が出るとは限りません。
どんな繊維を、どんな割合で、どう組み合わせるかで結果は変わってきます。
ポイント:異なる繊維を組み合わせる目的は、単なるコスト調整だけではありません。
丈夫さ、肌触り、見た目、機能性、高級感など、さまざまな狙いがあります。
T/Cって何でしょう?
この業界で昔からよく使われている言葉に「T/C」があります。
これは一般に、ポリエステルと綿を組み合わせた素材を指します。
「T」はポリエステルの商標として使われたテトロンに由来し、「C」はコットン、つまり綿のことですね。
よく見かけるのが、ポリエステル65%、綿35%といった表示でしょうか。
では、この65%と35%は何の割合なのでしょう?
これは、全体を100%としたときに、それぞれの繊維が占める重さの割合です。
つまり、ポリエステル65%、綿35%なら、重量比でその割合になっている、ということですね。
| ポリエステル 65% | 綿 35% |
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| ポリエステル65%・綿35% | 全体重量に対して、ポリエステルが65%、綿が35% |
| 混用率 | 使われている繊維の重さの割合 |
※糸の本数や、生地の面積の割合ではありません。
ポリエステル100%なら、どれも同じ?
さて、ここからがまた少々ややこしいところです。
1種類の繊維だけを使った糸でも、同じ形状や性質や等級のものを使っているとは限りません。
例えばポリエステル100%と表示されていても、使っている繊維の中身は一様とは限らないんですね。
太さの違うタイプを組み合わせることで、見た目や風合いが変わります。
丸だけでなく、異形断面を使うことで、光沢や肌触りに違いが出ます。
熱を加えた際の縮み方が違うものを組み合わせると、ふくらみや独特の表情が生まれます。
染まり方の違うタイプを使うことで、濃淡や見え方に変化をつけることがあります。
こうしてみると、同じポリエステル100%でも、見た目も質感もずいぶん違った感じになることがお分かりいただけるかと思います。
実際に生地を扱っていると、混率は同じなのに、まるで別の生地のように感じることもありますよ。
混率だけでは、生地のすべては分かりません
ここまでお話ししてきたように、生地の特徴は使われている繊維の種類や割合だけでは決まりません。
同じ繊維でも、太さや形状、糸の作り方、組み合わせ方によって性質が変わります。
さらに織り方や編み方、染色や仕上げ加工まで加わるわけですから、なかなか奥深いわけですね。
ここが大事:「綿100%」「ポリエステル65%・綿35%」といった表示は大切な手がかりですが、それだけで生地のすべてが分かるわけではありません。
今回はここまで
いやぁ、なかなかややこしいでしょう?
今回は繊維の組成と、異なる繊維を組み合わせる理由、そして混用率の見方についてお話ししました。
さらに、同じポリエステル100%でも、形状や性質の違いによって、見た目や風合いが変わることもご紹介しました。
この辺りを詳しく説明し始めると、またまた長いお話になってしまいますので(笑)。
今回はここまでにしておきましょうか。










